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このアービトラージ・フリー(無裁定)という概念こそが、金融工学の最大の基本概念です。これがあるからこそ、金融工学は、債券でも株でも、はたまた不動産でも、どんな対象であっても同列に扱うことができますし、異なるものを交換することができるようにもなります。
(p.89)
- 現在価値はすべての金融商品の共通尺度
つまり、金融商品の種類が違うと、価値を測る物差しも違ってくるので、同列に並べて比較することは非常に困難でした。
しかし、「金融商品をキャッシュフローで表し、その現在価値で価値を測る」という考え方は、どんな金融商品にも同じ基準で適用できます。その結果、ようやくファイナンス理論全般を貫く共通の理論的基盤が構築されるようになったのです。
この考え方は、一般にはDiscount Cash Flow (DCF) 法として知られています。
(p.95)
コール・オプションの場合、行使価格が現在株価*1よりも低いオプションをIn The Money (ITM), 高いものをOut of The Money (OTM), 等しいものをAt The Money (ATM)と呼んでいます。なお、プット・オプションの場合は呼び方が逆になって、行使価格が高いものがITM、行使価格が低いものがOTMとなります。
(p.157)
「貸し出しをしている企業は優良企業」という前提がある限り、そのリスクは表面には出てきません。つまり、優良かかそうでないかの線引き自体が甘くなっている場合、たとえ本当のリスクが大きくなっていても、「優良企業にしか貸し出していない」ということ自体は変わらないために、どのくらいリスクが大きくなっているのかが把握できないのです。
こうした仕組み、金融工学的に言えば「リスク管理手法の未整備」が、バブル期に不良債権が予想を超えて積み上がってしまった一因だと考えられています。これに対して、金融工学は、あくまでのその企業の倒産リスクの大きさを客観的に測定しようとします。たとえば、企業Aの倒産確率は○%であるとか、貸出先全体のXX%が倒産する可能性があるというように数字でリスクが表されるのです。
したがって、貸出基準をゆるめて貸出を増やせば、その分リスクが高まることが数字で示されるので、引当金を積んでそのリスクに備えることが必要だというようなことがわかるようになります。
(p.211)