未来を変える80人-僕らが出会った社会起業家
未来を変える80人 僕らが出会った社会起業家 | |
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僕らが「もうひとつの起業家」と呼ぶ人達は、変化を求めて声高に叫ぶ事はしない。自信が変化を具現し、変化を促すタイプだ。原因を突き止めて糾弾するのではなく、解決策を示す。あくまでも地に足をつけたまま、社会問題に対して具体的で、広く応用出来る未来への解決策を考え、実行する。未来に警鐘を鳴らすだけではなく、問題や行き詰まりを認識しつつも、楽観主義を捨てずに代替案を示す。
(p.16)
この本はレシピ本じゃない。物語の本だ。新しいものを恐れる懐疑的な気持ちを克服した人たちの物語。不安定なもの、疑わしいものを批判するよりも、情熱を燃やし、実践的な価値を認め、まだ確立されていない考えでも、その正当性を信じるほうが賢いことだってあり得るのだ。
(p.284)
- アルタエコ創業者トリスタン・ルコント
- フェアトレード
- 小規模生産者と契約し、正当な価格(国連の条件によって規定)で取引し、教育手当などを加算して支払う。
- 価格は8,9%程度高いだけ。広告費に回っていた分が生産者に行く。
- フェアトレード
- エコベール企画部長ペーター・マレーズ
- 28日で95%が生分解される洗剤。
- ちなみに「生分解」基準は60%、従来製品は35%といったところ。
- 日本の「サラヤ」洗剤は99.9%とな!
- 28日で95%が生分解される洗剤。
- コパート社長ペーター・コパート
- 自然農法...害虫駆除に「天敵虫」を使う
- 定量的に虫のバランスを研究。利用後はちゃんと天敵虫も死滅。
- 薬品と違って耐性が付かないので、農薬メーカーも推奨。
- 自然農法...害虫駆除に「天敵虫」を使う
- スカンディックホテル、Sustainable Development担当部長ヤン=ペーター・ベルグクヴィスト
- 赤字ホテルだったが「環境への取り組み」を前面に出し成功。
- セフケム社長カール・シュトゥッツル
- 洗浄に用いる塩素溶剤をレンタル、リサイクルする。
- クライアントは危険な薬を大量に買う必要がないため、コスト削減。
- #顧客が「何に金を払っているのか」を見抜くことによるパラダイムシフト。
- 洗浄に用いる塩素溶剤をレンタル、リサイクルする。
- アラビンド眼科病院創設社ゴビンダワ・ベンカタワミ
- 白内障治療: 貧しい人(2/3)が無料で治療を受け、裕福な人(1/3)が正規料金を払うシステム
- 手術の流れ作業でコスト削減。独占されていたレンズの自国内開発。
- フォーメーション・カーペット創業者スロ・シュレスタ・シャフ
- 子供を工場で「働かせない」代わりに「働いた方がいい教育が受けられる」ように、工場の隣に学校を作った。
- グラミン銀行ムハマド・ユヌス
- 25年で、46,600の町に支店を持ち、労働者の1/4が融資を受けた経験があり、45億ユーロ以上を12,000,000人に融資した。96%が女性。
- イスラムの戒律「シャリア」は利子を禁止。回避策: 銀行資本金の94%が顧客の出資金なので、表向き自分から金を借りる、という形を取っている
- 25年で、46,600の町に支店を持ち、労働者の1/4が融資を受けた経験があり、45億ユーロ以上を12,000,000人に融資した。96%が女性。
「路上で人々が植えて死んでゆくのに、私は大学で、何の現実味もなく、こぎれいな経済理論を教え続けていた。私のように安穏と教室にいて、何もかもわかったような気になっているのは、実に尊大な事だと思い始めたんだ。だから、貧しい人に学ばなくてはいけないと思った」
(p.107)
- プルキ創業者スライヤ・ハク
- 女性の育児と仕事を両立させるため、企業内に保育園を作るノウハウを提供。
- シノフォレスト創業者アレン・チャン
- 中国で木材の需要が伸びている事に気付き、「木材農場」を作った。
- 5年で成長するユーカリや松を植えて木材として販売。伐採は植林の1/5までに制限。
- 中国で木材の需要が伸びている事に気付き、「木材農場」を作った。
- 古野隆雄の合鴨農法
- 歴史の本を読んでいて、田んぼに合鴨が泳いでいた事を知る。実践によりそのメリットを発見。10年で化学薬品ゼロでしかも生産性が向上する方法を実現。
トーマスには他人よりも有利な点があった。建築家とエンジニア両方の経験があることだ。屋根の建築コストのうち、もっとも高価で、商業化の障害となるのは、断熱材のコストだと彼には分かっていた。高熱に耐えられる特別な素材が必要になるからだ。
(p.149)
- アショカ財団創設社ウィリアム・ドレイトン
アショカ財団は、社会の向上のために何かしようとする人を支援するための団体だ。ドレイトンは彼らを「社会起業家(Social Entrepreneur)」と呼ぶ。会社を起す情熱と根性をもつ起業家であると同時に、社会問題に取り組む活動家でもある人たちだ。アショカ財団のやり方のどこがどこが斬新かというと、この財団は人に対して、つまりは、その人の夢を実現させる能力に対して投資するという事だ。
(p.180)
- !!kwskしらべる
- メタボリックス創業者オリバー・ピープル
- 生分解プラスティック
- ドミニ・ソーシャルインデックス創業者エイミー・ドミニ
- 社会的責任投資の先駆け。
- CDI創設者ロドリゴ・パッジィオ
- 10代からSE, 23歳にして既にソフト制作会社を起こし、成功者となる
- ブラジルの子供達用の掲示板サイト(?)を立ち上げるが、裕福な家の子供しか利用しない。
- そこで、不要なコンピュータを回収して貧しい家の子供達のためにパソコン教室を開く。
- IDEAAS創業者ファビオ・ロサ
- ソーラーパネルを月10$でリース。貧しい人に低価格で電気を提供する。12000人の生活を電器化。
- 実は電気を使わない方がコストがかかる。月10ドルなら農民も支払える。
「発展途上国に足りないのは、ハイテク・コンピュータでも、衛星テレビでも、バイアグラでもない。カイロやリオにだって、そんなものはある。本当に足りないのは、法律が所有権や商標権という形で商取引を保護し、権利が事業の担保として機能する法治社会なんだ」
(p.265: エルナンド・デ・ソト)
- ソウルシティ創業者ガース・ジャフェット
- アフリカに公衆衛生の概念を教えるため、お祭りを利用してメディアの力を実感。
- テレビドラマ「ソウルシティ」で公衆衛生の話題を広める。
「地球上のどこかで貧困に苦しむ人々」というと多くの人が思い浮かべるのは、何も持たずカルカッタの路上で眠る乞食同然の人々だとか、砂漠の砂の上で飢え死にしそうなアフリカの子供たちといった所だろう。もちろん、それも現実だが、発展途上国のこんな暗いイメージだけでなく、解決策に希望を見いだそうとして働いている人達の姿も知ってもらいたい、と僕らは思う。
(p.275)