甦る怪物(リヴィアタン) - 私のマルクス ロシア篇
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モスクワ大学には、週2回、1回90分というような中途半端な第二外国語のコースは存在しない。語学を習得するには最低毎日4時間半の授業を2年受けることが基本。
(p.111, 改変)
- 日本の第二外国語はお遊びのようなもん。どうせなら文化的背景とかやればいい
日本の大学における語学教育は、外交官や新聞記者などの実務的見地からするとスカスカで意味が無いが、最短時間で外国語の骨格だけを押さえ、テキストを正確に読むことができる知識を身につけるという観点ではなかなかよくできているというのが私の実感である。外国で生活したり、外国人と交渉したりするごく一部の人々を覗いては、外国語はテキストを読んで、その意味が理解できればいいのである。その観点からすると日本の大学で用いられている薄っぺらい外国語教科書は実に良く出来た教材なのである。
(p.112)
- スカスカを中学から卒業まで10年間も学び続けるなら、数年集中して習得したいです
- 第二外国語、という観点だといいんだろうけど
ロシアには底力がある。ロシア人の教育水準は高いし、忍耐力もある。それにロシアには地下資源もある。今から10年後に、ロシアは大国としての国力を回復し、20年後にはかつてのソ連に匹敵する地位を占めるようになると思う。
(p.154)
- 著者が学生に語ったロシアの今後予測。ソ連に匹敵か。資本主義がうまく根付くかどうか、かな
エトノスとはギリシア語の*Θν**に由来する。エトノスは、近代的な国民国家と結びついた政治的単位である。ネーション(民族、nation)とは異なる観念だ。民族は、国家なり、自治区をもつか、これからもつという政治性を帯びている。これに対して、エトノスはそのような政治性を帯びている場合もあるが、帯びていない場合の方がほとんどだ。古代ギリシアのエトノスは、衣食住、宗教、神話、生活習慣などを共有する人々の集団が持つ特徴のことだ。民族が18世紀末以降の近代的観念であるのに対して、エトノスは、人類史が始まった頃から存在する。
(p.242)
- エトノクラチヤの基盤となるエトノスという概念。
「結局は支配の問題だと思うんだ。人間には、他者を支配したいという願望がある。ソ連システムは、パルトクラチヤ(共産党支配)という形でそれを実現した。ただし、パルトクラチヤの実態はビューロクラチア(官僚支配)でもある。エトノクラチヤは、二流のエリートが、官僚の地位を占めて一流のエリートになろうとする運動なのだと思う」
(p.258)
- セリョージャの見解。以下の論文要旨へつながる意見。
セリョージャの博士論文九つの論点
- ソ連は非常に窮屈な国家であった
- ペレストロイカ直前のソ連は、サマザな問題を抱えてはいたが崩壊の危機に瀕していた訳ではない。
- ソ連国民の最大の欲求は、経済改革、イデオロギー面/文化面での自由化、個人のイニシアチブがより多く発揮できるような変革だった
- ソ連社会は、欧米流民主主義に転換する準備ができていなかった
- ソ連には「社会主義的連邦主義」という名の拝外主義が存在した。
- ゴルバチョフのペレストロイカは、ソ連の全体主義体制を維持するため部分的改革を行うという誤った選択をとった。
- ロシアで、ネオ・ボリシェビズムという保守主義的傾向と、連邦構成共和国の反共主義的な自民族中心主義が、ゴルバチョフの制作に不満を高め、政権打倒を試みた。
- エリツィン・ロシア大統領が果たした独自の役割。権力奪取を目指し、自民族中心主義と分離主義者と連繋した。
- 1991年12月のソ連崩壊は、客観的必然性を持つものではなく、エリツィン派と連邦構成共和国の民族拝外主義との同盟によって起きた。
(p.342, 改変)
- なるほど。それぞれの主義にルーツがあり、相互作用する主義に窮屈な国家がその形を保てなかったというところか
ロシア豆知識
- 「レストラン」は盛大に飲み食いする場所で、その日は食事を抜いたり翌日は二日酔い確実だったりというレベル。
- 急いで食事をする時は「スタローバヤ」とか「カフェ」