Op.ローズダスト(中)


Op.(オペレーション)ローズダスト〈中〉 (文春文庫)
Op.(オペレーション)ローズダスト〈中〉 (文春文庫)
文藝春秋 2009-02
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2001年、時の大統領をして、イラク・イラン・北朝鮮の三国を「悪の枢軸」と言わしめるのはまだ先の話だったけど、自国に害をなし得るすべての存在と対決姿勢を示し、"撃たれる前に撃つ"と言明したアメリカの政策は、すでに十分世に知らしめられていた。
(p.131)

「あの三人と同じだ。誰も悪意があってやってることじゃない。一人一人はマジメで、大半は善人で、家族やら仕事を大事にしてるんだろう。だがそうして自覚なく悪をなす連中が、LPを潰し、三佳を殺した」(中略)
「そういう連中をのさばらせている、この国の状況。それがローズダストのファイナル・ターゲットだ」
(p.240)

そうした残滓が、義務を果たさずに権利のみを謳い、そのくせ依存性の強い大衆志向と合致して、怠惰であることを容認する社会構造を作り上げる。マスコミは問題の本質をオミットして、ショーアップされた事件や人物で部数と視聴率を稼ぐ。劇場型政治、観客民主主義の行き着く先は、見たいものしか見ない、知りたいことしか知ろうとしない無地層の拡大だ。それはもう人ではない。国家というシステムにわいた蛆虫だよ
(p.297)