国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

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国策調査の現実。

メモ


ロシア人はなかなか約束をしないが、一端約束をすればそれをよく守る。「友達」という言葉は何より重い。
ユダヤ人は人を紹介する時に「彼は友だちなので話を聞いてやってくれ」としか伝えない。説明は自分で直接やってもらう
ロシア人の思考形式: 身内では国家元首の悪口を散々言うが、外国人がそれに加われば怒りだす。
佐藤氏の担当検事は西村氏。事件が国策捜査であることを認め、そこから「折り合い」を付ける道を探した。
盟友を陥れようとする輩から人心は離れて行く
検察の論理: 鈴木宗男氏が贈賄、佐藤氏が収賄とする贈収賄事件を作ること。政治家が完了に賄賂を渡すという変な話だが、状況的にどんな話でも作ることは出来た


フレーズ

外務省の腐敗構造を暴き、膿を出し切るには田中女史の破壊力に頼るしかないと考えるものは少なからずいた。それに自らの立身出世のために田中女史に擦り寄る人々が加わった。これらの人々にとって、第一の敵は鈴木宗男氏であり、その「御庭番」であるラスプーチン、つまり私だった。そのため、私の信用失墜を図る動きも活発になった。
(p.88)

政治家は長時間待たせた客のことを決して忘れている訳ではない。内心では何時間も待たせて済まないと思っている。私は逆転の発想で、待ち時間が増えることは、その政治家に対して貯金をしていることと考えるようにした。
(p.96)

情報屋の基礎体力とは、まずは記憶力だ。私の場合、記憶は映像方式で、なにかきっかけになる映像が出てくると、そこの登場人物が話し出す。書籍にしても頁がそのまま浮き出してくる。しかし、きっかけがないと記憶が出てこない。
(p.217)

  • 映像記憶の人だったのか!獄中の正確な描写、ロシア時代の複雑な人間関係や会話の再現も納得。うらやましい

情報の世界では「存在しない」という話は当事者同士が合意しない限り、最後まで「存在しない」のである。そして、「会っていない」という約束になっている場合は、誰が何を言おうともあくまでも「会っていない」のである。このルールについては徹底的な遵守が要求される。そしてそれを破った場合、ルールを破った者に対して属人的に責任が追及される。この世界に時効は無い。
(p.240)

「僕たちは、法律専門家であっても、感覚は一般国民の正義と同じで、その基準で事件に対処しなくてはならない。外務省の人たちと話していて感じるのは、外務省の人達の基準が一般国民から乖離し過ぎているということだ(後略)」
「一般国民の目線で判断するならば、それは結局、ワイドショーと週刊誌の論調で事件が出来て行くことになるよ」
「そういうことなのだと思う。それが今の日本の現実なんだよ」
「それじゃ外交はできない。ましてや日本のために特殊情報を活用することなどできやしない」
(p.288)

「だいたい国策調査の対象になる人は、その道の第一人者なんだ。ちょっとした運命の歯車が違ったんで塀の中に落ちただけで、歯車がきちんと噛み合っていれば、社会的成功者として賞賛していたんだ。そういう人たちは、世間一般の基準から見ればするとどこかで無理をしている。だから揺さぶれば必ず何か出てくる。そこに引っ掛けて行くのが僕たちの仕事なんだ」
(p.290)

「今回の国策調査は異常な熱気で始まったが、その終わり方も尋常じゃなかった。ものすごい力が働いた。初めの力と終わりの力は君が言うように一緒の所にあるかもしれない」
(p.346)