ブラック・スワンTHE BLACK SWAN―不確実性とリスクの本質

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質望月 衛

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star哲学的な本
star複雑化する社会の不確実性を解き明かす名著
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ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質
ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質望月 衛

ダイヤモンド社 2009-06-19
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star予期せぬ出来事(Black Swan)に関する、深く広範囲で刺激に満ちた考察 [2007/9/22原書review]
star著者が語っているのでよかったらぜひ

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概要メモ

  • 情報を入手・蓄積・複製/再利用するそれぞれにコストがかかる。したがって生の情報よりもパターンの方が小さくまとめられる。
  • コンピュータもレーザーもインターネットもGoogleの成功も9.11テロも、予期されたものではなかった。しかし、それは世界を変えてしまった。
  • 人間は生まれつき「外れ値」すなわち「黒い白鳥」を過小評価する性質がある
  • 「統計的に有為」=データの誤差をガウス分布と仮定した可能性が高い。

フレーズ

上巻

この本の敵役は、ベル型カーブと自分に嘘をつく統計屋だけではないし、プラトン化 して、自分自身をだますために理屈をこねる学者だけでもない。自分が納得できることだけに「集中する」よう私たちを追い立てるもの、それが攻撃対象だ。(中略)
この本で私が、「裏付けになる証拠」ばかり選んで集める卑怯なやり方に頼っていないのに注意してほしい。第5章で説明するように、例を山ほど積み上げるそんなやり方を、私はバカ正直な実証主義と呼んでいる。話に合う逸話を次から次へと繰り出して並べても証拠にはならない。自分の考えを確認できるものを探せば、誰だって自分をだますのに十分なだけ、そういう証拠が見つけられる。(中略)
まとめると、この(私事の)エッセイでは、私はあえて危険を冒して、私たちがものごとを考える時の習慣にたてつき、私たちの世界は極端なこと、わからないこと、そしてありえないこと(今わかっていることによればありえないこと)でいっぱいだと主張する。それなのに、私たちは時候のご挨拶みたいなどうでもいいことにばかりこだわり、わかっていることや何度も起こることにばかり目を向けていることを示す。私たちは極端な出来事から手をつけるべきだ。(中略)
それからもっと大胆な(しかも神経を逆撫でする)主張を述べる。私たちの知識は進歩し、成長してきたのに、いやたぶん、そんな進歩や成長をしたからこそ、将来はいっそう予測しにくくなっている。そして人間の性質や社会「科学」のせいで、私たちにはそれが見えなくなっている。
(p.20)

  • 「集中」しても、ファットテイルの予期せぬ成功/失敗で全部ひっくりかえる。

自分で経済的リスクや金融リスクをとっていたら、「計量可能」なリスクなんて現実の日常にはほとんど関係ないことがわかっただろうに!あれは実験室のからくりなのだ!
(p.233)

モデルの外側から食らったり、食らう可能性があったりする損失の大きさは、モデルが扱うリスクの1000倍近くにもなる。
(p.237)

  • 世界のすべてを理論に含めることはできない。そして、理論の外側にある事象は無視してよい「誤差」などではなく、時に爆発的なインパクトを生む「黒い白鳥」である。
下巻

私たちは自分が予測をする段になると、ものごとは予測できないということをすっかり忘れてしまう。
(p.7)

  • 「自分は例外」と思うな。

私たちはおもちゃを作る。そういうおもちゃには、世界を変えるものがある。
(p.12)

  • 遊びが世界を変えるか。

ウォーレン・バフェットの言葉を借りると、床屋に髪を切った方がいいと思いますかなんて聞いてはいけない。それと同じで、学者にあなたの研究は重用ですかなんて聞いてはいけない。
(p.33)

  • ワロタw 確かに。本当にすごい研究は少ない(し、すごさが理解されていない/できない研究も多い気がする)

人間である限り、自分のやっていることについて、いくらか知識に関するうぬぼれを持つのは仕方がない。それを恥ずかしく思わなくたっていい。いつも判断を差し控えようなんてしなくていい。意見を持ってしまうのも日々の暮らしのうちなのだ。予測をさけようともしなくていい――そうなのだ。予測する連中をこれだけ叩いておいて、私はバカはやめろなんて言わない。ただ、正しいときにバカになれと言う。
(p.65)

  • これもスタンスとして重要だな。
    • でも著者が「正しい」ときだと思っていても他の人が見ればそれは間違ったタイミングでのバカかもしれないよ

ここでは、この本を通じて述べてきた私の主張をまとめてもう一度繰り返す。ベル型カーブにもとづいた不確実性の測度は、急なジャンプや断絶が起こる可能性とその影響を単純に無視してしまう。だから。果ての国では使えない。(中略)
ランダム性には二種類あって、両者は空気と水みたいに質が異なると強調してきた。一方では、極端な結果は大きな問題ならない。もう一方では、極端な結果は深刻な影響を及ぼす。
(p.119)

  • 二種類、という必要はないな。出るか出ないか。