クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす


クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす (ハヤカワ新書juice)
クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす (ハヤカワ新書juice)Jeff Howe 中島 由華

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クラウドソーシングの10のルール

最後に記されているルール。

  1. 正しい方式を選ぶ
    • アプローチは多様。まず最終的な目標を明確に。
  2. 正しい群衆を選ぶ
  3. 正しい動機を与える
  4. 早まってリストラをしてはいけない
  5. もの言わぬ群衆、あるいは慈悲深い独裁者の原則
  6. ことを単純にし、小さく分ける
  7. スタージョンの法則を忘れない
  8. スタージョンの法則を逆手に取って、10%の存在を忘れない
  9. コミュニティは常に正しい
  10. 自分のために群衆に何ができるかではなく、群衆のために自分に何ができるかを問う

フレーズ

出来映えのよしあしにかかわらず、なんでもかんでも――あるミュージシャンの鉛筆で書かれた肖像画まで――インターネット上で公開しているのだった。まさに、ゲームデザイナーで教育者でもあるマーク・プレンスキーのいう「デジタルネイティブ」である。娯楽を作りだすのに必要なツール――編集ソフトからデジタルビデオカメラまで――が安く手に入るようになり、ネットワーク環境が整って自由に配信できるようになったことから、従来にない、新しい種類のサブカルチャーが生まれている。すなわち、娯楽を自作してそれを楽しむ、国家の中にある別国家である。
(p.11)

  • プロシューマーの台頭。スキルのチープ化。

クラウドソーシングはインターネットと密接に関わっているが、その本質はテクノロジーには関係ない。(中略)それよりも重要なもの、興味深いものはテクノロジーによって生じる行動であって、とくに、インターネットを介してたくさんの人々が団結し、組織化して、生き生きと、パワフルに活動する可能性が出現しつつある。
(p.20)

  • 人の動き方を加速、拡張した。

科学的な発見を後押しするのは、データの収集および集成である。
(p.120)

  • ネットを使わないで、たこつぼで研究してると非常に非効率なのがわかる。伝統的な手法、先輩から受け継がれたマニュアルに沿った方法で研究するだけで
    • それがくだらないと思ったことも、研究から離れようと決めた動機の一つ。
    • せめて自分だけでも、反例としてネットを活用した研究をしたい。のだけど、言うだけか。今何が出来るか。研究室にはネットの活動を隠して、分離しているのがまた辛い。そういう方向に特化してしまった。畜生。
      • facebookで研究者コミュニティ。Research Gateで手助けを請う。ここらへん使ってないから模索してみようぜ

クラウドソーシングの根本には、ある平等主義的な原則が存在する。つまり、ほかの誰かが価値あるものと見なすような知識、あるいは才能を、誰もが持っているというものだ。大まかに言えば、クラウドソーシングにはその二者のあいだを結びつけることが含まれる。つまり、これもわれわれのイメージとは異なるが、個人こそ――人と変わったところをもっていても――クラウドソーシングの中心なのだ。くわしくいえば、われわれは誰もが環境の原材料である。(中略)この唯一無二の個性が大きな集団のなかで保たれるとき、これを多様性という。多様性という言葉は、これまでの20年におよぶアイデンティティ政治学の中で、それにそぐわない重荷を背負わされてきた。だがクラウドソーシングに関する限り、多様性の概念と、多様性の政治学を切り離すことが重要である。
(p.188)

  • ここが最も大切な所。

多様性が個人の能力を上回る条件

  • 群衆は群衆らしく行動してはならない。それぞれ個性的な方法を用いる。
  • 解決を要する問題はそれ相応に困難でなければならない。
  • 目前の問題を解決するにふさわしい資質を持っていなければならない。
    • 「地下鉄にいる人々を無作為に集めて、新しい原子炉を設計しろと言っても無理」
  • それぞれの貢献をまとめ、整理するための何らかのメソッドが必要。
  • 広い範囲から群衆を構成する。
    • 問題への取り組み方が多彩になり、「局所的知識」すなわち個性を発揮できるように。

(p.200, 改変)

  • なるほど尤もだ。これらの原則を守った上で群衆を利用しなければならない。

イノベーションを引き起こす第一のものは需要の高まり
(p.233)

  • 必要とされている所に、適切なものをポンと放り込む

協議は、多様性を減じることから、集団的知性の大敵なのだ。個人同士が話し合えば、やがて同意にいたる。賢明な予想や、画期的な問題解決法を群衆から引き出すための重要な条件に、自主性がある。それぞれが自主的に選択することだ。
(p.245)

  • なぁなぁでやりだすと駄目。

企業にとって、クラウドソーシングを採用する利点は明らかである。ほとんど、あるいはまったくコストをかけずに献身的な労働力を手に入れ、彼らに重要な機能をはたしてもらうことができる。(中略)
とはいえ、クラウドソーシングは簡単には手に入らない。コミュニティはときに育みにくく、保つのはもっと困難である。そういう仕事には、長年幅を利かせてきたビジネスの習慣にとらわれない考え方の出来る管理者が必要になる。
(p.253)

  • 場をつくることは難しい。

結局のところ、アイストックが提供しているのは、通貨価値に置き換えるのは難しくとも、途方も無い価値を持っているもの、すなわち意義である。群衆は熱意を持って自分の時間――余ったキャバシティ――を費やすが、それで何も得ないわけではない。意義のある交流を得るのだ。儲けのことは二の次で、それがまったくなくともよいのである。
(p.275)

  • 意義。投資の100%を金銭価値に置き換える、などと思ってはいけない。火力発電よりもずっと、投資対効果の効率は悪い。ただ投資してくれる元が膨大な数である、という点が効いてくる。

協力者に何かをしてもらう場合、指示をもっとずっと明確にする必要があるということだ。
(p.301)

  • 軽い気持ちで、気軽にできるワンコインを集める。

協力者たちが自発的に選んだ相手は、自分が情熱を注ぐ対象、よく知る対象だったことである。
(p.305)

  • 頻度が好意につながり好意が選択に繋がる。営業でも、とにかく用がなくても顔を出しておけとか言うしな

われわれ――ここでいうわれわれは、いまだにニュースを新聞で読む人々全員のことだ――は何かを観、何かを聴き、何かを読む。だが、こういう子供たちは何かを作るのだ。
(p.380)

  • 生産者側へのいシフト。意識されない、彼らの代における常識。

構築し、設計し、創作するためのスキルをデジタルネイティブが身につけるほど、さまざまな商品の希少性が薄れるので、それらを販売する企業が大変な苦境におちいることになる。「流行り廃りは昔からある現象だ」と、マローンは指摘している。「生まれた時から水道があれば、子供たちは手押しポンプの使い方を知らないだろう。そして、いま到来しつつあるこの新しい世界では、使い慣れたものの多くが手押しポンプと同じ運命をたどることになる」
(p.388)

  • たぶんこれは望ましい流れ。世界のフラット化。
    • 金融工学とか、いま専門的とされている世界もいずれ大衆化される時が来る。
      • ソフトウェア開発やら音楽制作はこの15年でどれだけ大衆化が進んだか。15年前から今の状況が予測できたか。