単純な脳、複雑な「私」


単純な脳、複雑な「私」
単純な脳、複雑な「私」
おすすめ平均
stars単純な池谷の心、複雑な脳
stars角回とは
stars脳と心の関係が・・・
stars相変わらずの安定感
starsすごく面白かったです

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概要メモ

主観の問題をサイエンスの土台で扱うことが出来るようになって来た。脳を覗くことで「手を握ると痛みが消える」「料理は盛りつけや食器や雰囲気で味が変わる」ことが証明出来る。

  • 「勘」をサイエンスで扱う。
    • 「直感」ただなんとなくわかる(なんとなく嫌な感じ、とか)
    • 「ひらめき」思いついた後に理由が説明出来る(論理パズルとか)

報酬をもらいすぎると仕事は楽しくなくなる。報酬+やりがい=一定、となるように調整する*1
生存戦略上効果のある"作話"
脳が把握する世界が世界のすべて
「正しさ」の根拠は記憶へのアクセス。例証が多ければそれは正しいと認識。
さらに言えば「正しい」とは自分が心地よいかどうか
一瞬だけ2つあるいは1つの単語を見せる。
「単語の数は1つか2つか」よりも「単語の間に関連があるかどうか」の方が素早く判断出来る。タイミングによっては、単語の数も分からないのに関連の有無だけを把握したりする。無意識の効果。
身体状況を説明するために「記憶」を使う。以前こうだったから今こうであるにちがいない、と。アブダクション。作話現象。
2003年にヒトゲノムプロジェクト完了。DNAは33億塩基対、22000遺伝子
うすい情報にノイズを加えて域値で切ることで、本来検出出来ない感度を感知出来る
脳は重量にして体重の2%, エネルギー消費は20%。でも絶対値で言うと400kcalなのでエコだ
自然界の現象はベキ分布
訓練すれば脳波の揺らぎ、アルファ波をコントロール出来る。コツさえ分かれば。(そもそも普通はフィードバックに使う測定装置がないので分からんが)
フィードバック回路から「創発」が生まれる。 #自己言及。GEB
リカージョンrecursion(再帰)によって無限という概念を獲得できる。ヒトも幼少期はリカージョンができない。
有限を知っているというメタ意識こそが人間を人間足らしめている

フレーズ

僕は、こうした他者から自己へという観察の投影先の転換があって、はじめて自分に「心」があることに自分で気付くことになったのではないかと創造している。つまり、ヒトに心が生まれたのは、自分を観察出来るようになったからであって、もっと言えば、それまでに先祖の動物達が「他者を観察出来る」ようになっていたことが前提にある。
(p.180)

こうした身体と脳の相互作用、無意識と意識の相互作用のプロセスの全体、これが「心」の姿だと考えてもらえればいいんじゃないか。
そのどれが欠けても、私たちの【心」は形成されない。だから「心は脳だけに局在する」と短絡的に考えるよりは(まぁ、それでもいいんだけど、でも)、むしろ心は全身に、あるいは周囲の環境に散在すると言った方が適切だと思うんだ。
(p.188)

その(光の)受容体は@「ロドプシン」と呼ばれていて、光を吸収する化学分子を含んでいる。そこに光が届くと、光を吸収して分子が変形する。すると、近くのチャネルに働きかけて、チャネルを閉じる。開くんじゃない、閉じる。
光を感受する細胞は常に興奮しっぱなし。。いつもイオンが入って来ている。すなわち目を閉じているときに最も活発に活動している。目を開くと活動が外間恵理、その情報が脳に到達する
たとえば、僕らは「赤」の光を感知する受容体を持っているよね。この赤色の受容体には遺伝多型が存在。遺伝子のタイプによって敏感な波長が古都なる。つまり厳密には、人それぞれの言う「赤」は異なる。
(p.228: 改変)

「意図」とか「医師」とか、あるいは「生命っぽさ」というのは、ほんとにあらかじめそこに存在しているというよりは、意外と簡素なルール、数少ないの連鎖で創発されているだけであって、その最終結果を、僕らが単に崇高さを感じてしまっているだけだ
(p.351: 改変)

「自由」は感じるものであって、本当の意味で「自由」である必要はない。だから、僕らは「自由意志」をすでに感じて生きているんだから、もうそれでいいじゃないか、それ以上僕らは何を欲するんだ、という言い方も出来るね。
(p.392)

*1:だからと言って低所得の方が仕事にやりがいを感じるというわけでもないだろうが...