ロシア人しか知らない本当のロシア

ソ連時代に日本に留学、その後帰化した著者による思い出&経済分析。
『自壊する帝国』が政治劇ならこちらはコンサル的分析。と思ったら著者は現在大和総研勤務。ただコンサル的分析をやるなら数値をベタ打ち(?)ではなく図表を使ってほしかった。。。。把握に時間かかる。

ソ連時代、人々は70年もの間「計画」の下での生活を強いられてきた。三世代を通じ「計画」という言葉は経済のキーワードであった。市場経済になって、「計画的な」過去から解放された人々が、「計画性のなさ」を楽しんでいるのを大目に見るのもいいだろう。
(p.30)

  • それ、楽しんでるのかな。
    • 計画を強いるシステムにニーズがある?いや、自己で計画することを加速させる方か。

ロシア経済はここ数年7%程度のGDP成長を続けている。高成長が続けば、消費ブームが起き、個人向けローンが普及するのも自然な成り行きだ。しかし、早くも問題が起きている。西側と違いローンで買い物をする経験がなかった普通のロシア人にとって、衝動買いとその後の返済というスタイルは、思わぬ落とし穴にはまりかねない危険性があると専門家は指摘する。
(p.42)

  • ロシア人にとって「カネを借りる」=「基本もらう。返せたら返す」だとか
  • 計画経済の傷跡は深い。というか適応できてない。
    • 対比として。開国・明治維新、敗戦国からの復興など日本は大きな転換において変わり身が早い、という認識。

好景気の中、銀行融資は今後の産業発展にとって欠かせない存在であるはずなのだが、企業向けより短気に高利益率をかせげる個人向けローンに偏っているからだ。
(p.45)

  • 目先のカネが好きか

ロシアの住宅市場はこの(サブプライムローンの)影響をほとんど受けていないと言っても良いほど無傷であった。2008年の空きにもロシアの不動産市場は下げ気配がなかった。しかし、90年代に日本に起こったように、金融市場の不具合に歯止めがかからなければ、いずれ実体経済が悪化する恐れも否定できない。
(p.61)

  • この調子だとどっかでバブルはじけるのか?
    • 住宅のバブルってのはなんでこう繰り返されるのか。
  • 1998.8.17

ロシア政府はルーブルの切り下げ*1、短期国債の新規証券への切り替え、さらに民間銀行による海外債務返済については90日間のモラトリアム(取引中止)を設定することを発表した。モラトリアムという総称によって、ロシア政府は事実上の「デフォルト」を宣言した。こうして異例の債務不履行の決断が世界に知らされた。
(p.68)

  • 日本がデフォルトを宣言する可能性、を踏まえて状況を精査

ゴルバチョフ政権時代には、市場経済へ移行するための政治改革、市場メカニズムの一部を導入し、私的所有を認める法律が採択された。しかし、(中略)体勢を立て直すつもりで始まった改革は、結局、旧体制を滅ぼすことになった。ソ連という社会主義国市場経済を植え付けることは出来なかった。
(p.78)

  • その裏側の政治の駆け引きが記された『自壊する帝国』を読むと、さらにおもしろさがわかるな。

90年代において、企業はその売り上げに対して20%の付加価値税、4%の売上税、35%の法人税の支払いと共に、給与に対し43%の社会保険などの天引きを行う必要があり、売り上げの95%を政府に支払うことになっており、まともに付き合うと即破産とならざるを得ない状況であった。
(p.84)

  • そら闇経済も発達するわな。95%って...
  • 法人ではないが、個人税率は2001年に一律13%に引き下げられた

「ロシアでビジネスを成功させるためにはロシア企業の女性と仲良くするしか方法はない。つまり、それは会計士と仲良くすることだ」
(p.140)

  • 歴史的に会計周りは女性が多いらしい
  • ロシア正教の歴史
    • 1000年間の歴史、帝国ロシア時代には大きな影響力
    • 1917年の社会主義革命(帝政崩壊)を境に、無神論共産党に追いやられる。
    • 新ロシアになって復活。

(p.149改変)

  • なんと二転三転する国か

こうした政府の計画は実に多い。ほとんどの計画は5年間の中期展望だが、最近は15年間の長期計画も出ている。「10年までのロシア連邦の発展戦略」の重点は、銀行改革、税制改革、自然独占改革である。銀行改革の促進、税制改革路線は「08年までのロシア連邦の主な活動」計画で継承される。さらに社会分野における教育、住宅等の拡充、防衛産業、航空産業、通信、ハイテク分野の発展が重視され、金融市場強化、中小企業支援策も織り込まれている。
(p.170)

  • 計画好き。この内容はどこで見れる?
  • また関係ないけど汚職が経済発展を妨げまくっている

ロシアは石油依存から脱しない限り、持続可能な経済成長の実現は難しい。ロシア政府はこのことを強く意識し、イノベーションに重点を置くことを経済界や国民に訴え、とりわけナノテクノロジーに代表される最新の技術開発促進事業に予算を多く割いている。幸いなことに現在政府予算はたっぷりある。2007年8月、ロシアは外貨準備だけでも4160億ドル、中国と日本に次ぐ第三位である。
(p.183)

  • 強みが逆に枷になっている。豊富な資金をどう使うか。

データ

新規住宅着工数
1992年 2000年 2005年
68.2万戸 37.3万戸 51.5万戸
人口
1993年 2007年 2050年
1億4860万人 1億4220万人 1億783万人*2

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/83/Population_of_Russia.svg/800px-Population_of_Russia.svg.png

投資分野
1位 運送業 20.3%
2位 天然資源開発 18.1%
3位 不動産 15.2%
  • 2006年のデータ。この構造は2001年と同じ。
    • 脱却できていない
  • 天然資源開発とは石油・ガス・鉱物の第一次産業
2014年冬期オリンピック
  • @ソチ市
  • 予算120億ドル強
    • オリンピック史上最大
    • 国が60%、ソチ市は10%、民間が30%(だいたい)
    • プーチンのスピーチが有名

*1:固定相場制を採用している国が、固定相場を自国通貨が弱くなるように、つまり、より少ない外貨としか交換できないように為替レートを変更すること by http://money.infobank.co.jp/contents/T300008.htm

*2:国連予測