ロシア・ショック


ロシア・ショック
ロシア・ショック
講談社 2008-11-11
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starロシアはアツイ!!!
star世界情勢(ロシア情勢)と自分の人生はどこかでつながっている
star時宜を逸してますが、ロシアを知らない人向けのロシア入門書

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1985年にソビエト連邦の書記長となったミハイル・ゴルバチョフは、ペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)を唱え、規制改革と情報開示を行った。だがその結果起こったのは、ソ連邦そのものが崩壊するという皮肉な自体だった。(中略)
1991年8月に起きた守旧派によるクーデターは失敗に終わったが、完全に信頼を失ったゴルバチョフソ連共産党書記長を辞任。同年12月31日にロシア共和国大統領だったボリス・エリツィン独立国家共同体(CIS)の樹立を宣言し、引き続きロシア連邦の大統領となった。これによってソ連邦は解体したのである。
1992年経済成長率は-15%、ルーブル相場は400円から2円に暴落。
1996年、ゴルバチョフが大統領選に立候補したが得票率は0.5%
(p.24-, 改変)

旧ソ連時代はそこまで貧しくはなかったし、画一的ではあるがモノも一応はあった。科学者や技術者は非常に優遇され、ソ連の宇宙技術や軍事技術を支えていた。それが民主主義国家、資本主義になったとたんに、科学者たちを放り出してしまったのだから、国家としては無責任甚だしい。
(p.29)

  • Science & Technologyの軽視。初期ロシア時代は元ロケット技術者が農業で日銭を稼ぐ有様だった。今どうしてんだろ

ロシアと他の国の圧倒的な違いは、輸入に対する抵抗感が無いことだ。中国や東南アジアの国は、とりあえず輸入を許すけれども、国内で生産して欲しいという欲求が強い。
(p.94)

  • 自国に強みがあるから、いいものは金で買えば良い、という考え。

意識調査によると、ロシア人の74%は「日本が好き」と答えており、日本人の82%が「ロシアに親しみを感じない」と答えているのとは対照的だ。また、反日感情の強い中国は別として、BRICs諸国と比べてもロシアの親日度はダントツである。(中略)
ロシア人は日本の製品も好きだし、日本の文化への関心も非常に高い。アニメやゲームは若者に大人気で、日本マニアも多くいる。作家ではとくに村上春樹が人気で、ロシアで最も読まれている作家のナンバー2に入っているほどだ。
(p.100)

  • これをスルーしてんのは非常にもったいないなぁ。
    • Facebookあたりで見て回ってみるか。
      • しかしFacebookはあまり情報取れない。もっといいものないか

自動車はようやく目覚めた感じだが、他の分野の日本企業はまだまだそのことに気付いていない。日本がロシアに目覚めれば、日本経済にとって大きなインパクトをもたらすことになる。
(p.119)

  • 先行者。モスクワ証券取引所に上場してる会社はまだない(はず。調べておく)し、本腰を入れて展開している会社は少ない。

ロシア進出の10大心得 by スタニスラフ・シェクシューニア教授(インシアード大学)

  1. ロシア人と共に、ロシアのために働く
  2. ロシアのルールを尊重しつつも、自分の流儀を忘れない
  3. 政府や各種行政機関との関係を構築し、人脈作りに励む
  4. 核心に対しては断固たる態度で、枝葉末節には柔軟に対応する
  5. 窮地に活路を見出す術を学べ
  6. 腐敗は生活の一部。うまく対処する術を身につけよ
  7. 権威主義ではなく、本物のリーダーシップを発揮すべき
  8. 権限委譲は難しいが重要。それゆえ段階的に実施すべし
  9. 海外企業の個性が強調されたワンカンパニーを確立すべし
    • 窓口一つ、下手に日本企業と手を結んだりしない
  10. 早期警戒管理態勢を敷く
    • 朝令暮改がまだまだある。旧共産圏諸国では共通して気をつけること

(p.129-, 改変)

  • 海外進出一般に言えることもあるし、よく思考/経験する必要がある

いまはロシアのハイエンドの技術者を獲得するためには、引き抜いて自国につれてくるよりも、ロシアに進出した方がいいということで、欧米の主要企業、とくにアメリカは土足でロシアに入り込んでいるといった印象だ。
(p.135)

  • 土足とな。土足よりは草の根で行った方がえんかいな

「実はロシアのプログラマたちは、プログラマになるための専門の訓練を受けていません。彼らは科学者であり、物理学や数学、科学や生物学の専門家なのです。彼らがユニークな考え方をするのもそのためです。問題解決のためのアプローチの方法一つとっても、欧米人や日本人とはまるで違います。たとえばインド人のプログラマは『まずスペック(仕様)を見せて下さい』と言いますが、ロシア人のプログラマは『どこが問題なのか?』『何を解決してもらいたいのか?』と訊きます」
(p.144)

  • おもしろいな、これは。
    • 先日電車で、"IBM"とデカデカと書かれたプログラム研修資料と思しき巨大な書物に目を通している女性を見た。
      • なんというか、出来ない人まで無理矢理やらせて作る大企業的開発って効率悪いんちゃうの。肌感覚として。

ロシアがこれから「自前」で発展させて行く産業として最も注目すべきは、IT関連だと私は見ている。
(p.147)

  • なぜ自前でなければならないのか?輸入は得意なはず。
  • 15年前インドでタタやインフォシスを見て「有望だ」と感じた大前さんが、「ロシアのITは来る」と感じているそうな

ロシアは一気にアメリカやヨーロッパ、日本と同じ民主主義、資本主義にしてしまったがために、ひっくり返り方が大きかった。かたや中国が奈落の底をほとんど経験せずにここまで大きくなってきたのは、体制を変えずに資本主義的な要素をポンと上に載せただけでうまくやってこられたからだ。
(p.177)

  • 地獄を味わってきたロシア。根本から変わるか?という点。
    • 日本は明治維新でポンと変わったな。変わったのか?上っ面なのか。

中国は一見順調だが、矛盾は蓄積するばかりである。今中国がため込んでいる巨大なマグマは、7億人の農民戸籍の人達が抱いている、貧しい上に移動の自由さえ与えられないという不満だ。
(p.178)

  • それで劇場版「ハゲタカ」の劉一華が現れる、と

日本は、アメリカと中国は見えているがインドは歴史的に苦手である。またロシアとは平和条約も無く、まったくのブラインドスポットだ。EUは個別の国としては見て来たが、「国家としてのEU」をまだ認識できていない。その通過ユーロとの付き合い方もまったく検討されていない。これは国でも起業のレベルでも同じことである。
(p.223)

  • ちょっと本腰入れてFxやるか。いろいろ見えてくるだろうし

断片

  • すでにロシアではIAOP(International Association of outsourcing Professionals)のTop100に6社もランクイン
  • データアート社。金融、通信、メディアのアプリ/システム開発に強み。
  • 石油・ガス・鉄鋼・金属系企業のなかには時価総額が数兆円に達する会社が出て、既に海外企業をどんどん買収している
  • 大学や専門学校を含めた進学率がBRICsの中で飛び抜けて高い
  • 大前研一の見る2020年の世界観が面白い。6章。
プーチンの改革
  • 2000年3月の選挙で大統領に当選。最終的には92%の支持率
  • 2001年にフラットタックス導入。所得税率を一律13%にし、脱税を取り締まる。
    • それまでは累進課税、MAX 30%取られていたためアングラ市場が発達していた