ウケる技術/水野敬也(2003_2007)

ウケる技術 (新潮文庫)

ウケる技術 (新潮文庫)

コミュニケーションスキルを体系化した本
笑いというツールでもって、積極的に相手に食い込む。聞き手戦略の一歩先をいく
ウケる人の会話を整理すると、誰でも真似できる有限数のパターンに分解できた。

コミュニケーションはアドリブである

読みすすめながら自分が出来ていないことを意識、身につけるように実践する。技術は4パターンに分類できる。(1)空気・共感 (2)キャラ (3)前後 (4)クリエイティブ

戦略1 ガイジン化
戦略2 ねばり強さ
戦略3 神の視点
戦略4 逆
戦略5 チューニング力
戦略6 番組化
終戦略 愛

ガイジン化

ウケるための前提。(とくに初対面)テンションを上げている状態

  • 声が張っている
  • リアクションが大げさで明快
  • 表情が過剰に豊か

技術1.ツッコミ。相手を立てるサービス精神
「気遣い」と「踏み込み」をバランスよく機能させる


出した手をすぐ引っ込めるとウケる前に自身のなさが伝わる
引っ込み思案は空気を読みすぎている。=潜在的にコミュニケーションスキルが高い可能性。
リスクヘッジをしっかり身につけたうえで意識的に地雷を踏んでやる

逃げようとすればするほど噛み付かれる。

用件を言う前に踏むべきステップがある。お願いを聞いてもらう前に人間くさいサービスが必要になる。

場の空気は宝の山。空気に対して突っ込みを入れる
人前での発表でネタを仕込むのはいいが棒読みでは意味がない

ねばり強さ

逆風が吹いている状態でガイジン化して前に出る粘り強さ
ただし技術6.自分ツッコミ を多用しない。

技術11.詭弁。ヘリクツをつけて説得。要求を断られてからが勝負
技術12.俯瞰。全体像に対して突っ込みを入れる
技術13.勘違い。物事を都合よく解釈するおめでたい人。相手のツッコミを誘発
ダメモトと考えれば余裕が生まれる
技術18.ディティール化。話の細部を具体的にしてストーリーを展開
技術19.深読み。相手の行動を深読み。あくまで冗談だと伝える工夫も。

神の視点

凹まずムキにならず、切り返して会話を転がすことを優先し、自意識は気にしない
自分がからかわれているとして、からかわれている対象と自分の意識を切り離しすばやく切り返すこと大事。

ダメだしされると人格否定された気になって口が聞けなくなってしまう
=>ダメだしされた事実と自分の意識を切り離す

引っ込み思案な人が前に出るだけでも大きな効果がある。普段思われているキャラクターの逆を行く
# 岡
会話の流れの空気を読んで、あえてその裏をかく

元気がない人を責めて反撃させる。事実より気分で落ち込んでいる人に有効

嫌われたくないと思うほど、好かれなくなる。

チューニング力

モードを切り替えてどんなキャラがウケるのか試行錯誤
自分本来のキャラとは逆の裏キャラを持つこと。

相手が笑ったらかぶせるように笑ったり、同じフレーズを繰り返したりする

相手が食いついてきたポイントは、使い回しが効く。

技術28.天丼。ウケた言葉の再利用。忘れた頃にミスマッチ気味に使う
技術1.ツッコミ+技術21.キャラ変 = ノリツッコミ

番組化

間が持たないときに使う。
その場の偶然は非連続的に訪れるものだが、それにゴールや目的、ルールを設けて強制的に盛り上げる。初対面で相手があまりしゃべらない時に会話をクイズ番組にするなど。
店ではお客さん意識を捨てて、一段下りて先に心を開いてしまう。
マンネリ感をわかっていながら何とかしようとしないのは、お客さん意識があるから。サービス精神を持つべき。

コミュニケーションはサービスである。

「笑わせよう」ではなく、「喜ばせよう」

強者には強者の義務がある。生まれつきコミュニケーション能力がある人は、ひとり勝ちではいけない。
技術34.パス。空気が読めたら、他人にある行動を促してやる
技術29.レッテル展開。レッテルを貼ってストーリーを仕立てる
などを使ってコミュニケーション弱者も場に入れてやる。パスが失敗した場合は技術30.悪い空気 などを使ってフォロー

ウケる人が陥りやすい罠: 自分が安全な場所にいる限り、真に相手の心を動かせない。
思い切って安全地帯から出て相手に迫る

技術35.サプライズ。相手が自分に対して不安に思っているときか、期待を持たれててもそれをさらに上回る行動に出る。
ネガティブな印象を与えてしまっても、それを技術30.悪い空気 などで踏み台にする

メール編

メールは直接コミュニケーションに比べ隠蔽されがちな技術。
即座に反応せずとも何度も推敲できるので上達は容易。メールが力を発揮する場面3つ

  • 打ち解けていない相手に会うオファー*1
  • 時間的、空間的に離れた相手の感情を暖め、つなぎ止める
  • 逆境、劣勢にある相手との関係をひっくり返す

メールを打つ際の問題は、常に文章にネガティブな解釈が生まれてしまうこと。生コミュニケーションならニュアンスやしぐさでカバーできる部分。
自分の書いた言葉が相手に与える印象に敏感になろう。ネガティブ解釈の芽を一つ一つ自分ツッコミで潰していく
語尾は印象を左右する。絵文字、記号を効果的に使う

メールを送ること自体への空気読み。
約束、押しつけにならないような引き気味のニュアンス。肝心なところは押しつつ、最後は断る余地を残してあげる
一つの言葉をいろいろな角度で言い換えてやっと気持ちが通じるもの。

*1:本書では合コン後のvs女の子を想定しているようだ