ハゲタカ2 【バイアウト】(上)
ハゲタカ2(上) (講談社文庫) | |
真山 仁 おすすめ平均 スケールアップした舞台と魅力 ドラマとは違うけど ハゲタカ1より金融色薄れるかな 読んでいてつい力が入る 極秘情報に頼らずストーリー展開できれば、もっと楽しめる。 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
世論、空気、風習との戦い。物語のカタルシス。
鷲津にはこの国は「絶望の大陸」にしか見えない。長い歴史の中で熟成された御上に盲従する社会、事なかれ主義を尊ぶ為政者*1、そして何が起きているのかを見ようともせず、日々の暮らしに享楽する人々...。
(p.61)
- 絶望の大陸とはよく言ったもの
鷲津が1年日本を離れたのにはわけがあった。サムと共に長年追いかけたある事件の落とし前を付けるため、メガバンクが守り続けていた極秘情報をアメリカのメディアに流したのだ。その結果、当時の政財界に衝撃が走った。鷲津は、サムやホライズン・キャピタルの親会社であるKKLのトップから、身の安全のために日本を離れるように強く言われた。自分が取った行動に何一つ後悔のない鷲津はそれを拒絶し続けたが、度重なる妨害や脅迫めいたことがおこり、彼だけでなくホライズン・キャピタルの社員全体にも危害が及ぶ可能性が出てきたため、渋々日本を離れていた。
(p.81)
- 前作のラストから現在までの簡単な要約
成果主義を実力主義と世間は言うが、少なくとも曙電気の成果主義はザルだった。上から投げられる営業目標なんぞ無視して、前年よりも何をがんばるかを自己申告するだけだった。
(p.240)
- 名ばかりの実力主義。昔からある会社なんかだと、上っ面でシステムを作ってる場合が多い
企業買収が成功するかどうかのカギを握るのは、世論といってもいい。いくらビジネスとして最良の選択でも、世論を敵に回すと勝利はおぼつかない。なぜなら企業は生き物で、この生き物には多くの人が関わって生きているからです。
(p.295)
- 資本主義、市場主義との軋轢。
「会社は誰のものか。日本ではこの重要な問題が曖昧にされたままでした。おそらく漠然と、会社は経営者のものだという認識があり、それが多くの悲劇を生んだ」(中略)
「では、アメリカのように会社は株主のものと言っていいのか。それも違う。本来会社は、関係するステークホルダーすべてのものなんです。すなわち、株主、従業員、取引先、そして消費者。経営陣は彼らから期待されて会社という船の舵取りをまかされているだけです。メインバンクに至っては、せいぜいがステークホルダーの末席を汚している程度にすぎない。今回の勝負所はここにあります」
(p.298)
- 会社は誰のものか。なるべくたくさんの人がなるべく幸せになればいいのか?
「これは事実か」
「UTBが強引に押し込んだようです。この期に及んでの鈴紡の債権放棄はUTBの危機を誘発する、というのが彼らの救護要請の理由だとか」
「あんな銀行、潰れても誰も悲しみやしない」
「既に政府が追認しているんです」
前島が声を震わせながら言った。
「政府が追認?何だ、それは。ここまで完璧に民間による救済スキームができているのに、なんで国がしゃしゃり出る」
(p.406)
- 日本節か。中国に近い。中途半端?
「いいな雅彦。ここは自重だ」
「もし断ったら?」
「ウチは二つの大きな損失を被ることになる」
「何だ」
「貴様という得難い才能と、貴様をクビにするために支払われる莫大な契約違反金だ」
(p.411)
- 言い回しがかっこいい
知識
プロジェクトチーム
- CPA: 会計士
- PR
- LA: リーガル・アドバイザー
- FA: ファイナンシャル・アドバイザー
- 被買収会社を買収するための知恵を貸す
- 資金調達、株価対策、政治的動きの県政、パートナー探し、金融界の情報収集
- 後ろを任せることで安心して戦える、と
*1:いせいしゃ