マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

  • 世界で850,000,000人が読み書きできない(7人に1人)
    • その2/3が女性
  • 著者: ジョン・ウッドJohn Wood
    • 1991MS入社, 30代前半にして国際部門要職
    • 1999Room to Read設立

人生の大半を通して、僕たちは社会の期待に応えるようにと教えられる。僕はもうすぐ社会の期待にそむくのだ。これまでの人生は、すべて予測可能なレールを歩いてきた。
(p.55)

会社が大きくなればなるほど、努力と結果の相関関係は小さくなるものだ。
(p.77)

これが僕の新しい人生なのだろうか。マイクロソフトで働くうちに、(中略)必要な資源がそろっていることに慣れきっていた。いまは場違いなところに放り込まれている。自分がちっぽけで、無能に感じた。
(p.97)

「われわれのチームは途上国の地域社会と協力し、共同出資モデルを作って、学校や図書館、パソコン教室、女子への長期的な奨学金など新しい教育インフラの創造を媒介する」
(p.105)

そう言ってほしかったんだ。一生懸命に働くことをいとわない人がいい。非営利団体には『仕事は九時から五時まで』の精神の持ち主が多すぎる
(p.106)

当時の僕は大きな野心を持っていたが、財源は乏しかった。あらゆる出会いを、相手が友人でも、パーティーで偶然隣り合わせた人でも、組織の活動について話す機会にした。
(p.112)

僕に言わせれば、哀れみを利用して寄付者に懇願することは、貧困者をおとしめることになる。そのような写真を見せることは人間の尊厳を否定している。罪悪感をマーケティングに利用してはならないと、僕は思うのだ。
(p.115)

マイクロソフトでは、「大きく行け、それができなければ家に帰れ」と言われていた。これこそ、何か変化を起こしたいすべての人に送るアドバイスの核心だ。今日の世界が直面している問題は、とてつもなく大きい。少しずつと言っている暇はない。時間と労力をつぎ込む価値のある目標があるなら、大きく考えるべきだ。
(p.139)

Room to Readを差別化する一つの方法として僕が考えたのは、実際の成果を報告し、新しい情報をこまめに伝えることだ。「やろうと思っていること」を話すのではなく、やってきたことを話そう。新しくできた学校の数、寄贈した本の数、奨学金を受け取っている少女の数。バルマーに報告するつもりになれ。
(p.161)

マイクロソフトのまねをしたいと思う三つ目の組織文化は、ビルとスティーブの毎日から学んだ―具体的な数字に基づくことだ。
(p.164)

新しい組織は、すべてのスタッフに情熱がなければ機能しないだろう。特に初期の採用が肝心だ。彼らが新しいスタッフに組織の文化を伝えていくからだ。(中略)情熱があって、自分の数字を知っている人間だけを雇うこと。
(p.166)

真の起業家は、どのようにすればいいのかまったくわかっていなくても、新しい製品やサービスを世界に向けて堂々と発表する。とにかく前に進むのだ。
(p.239)

枠がなければ人は創造性の筋肉を動かし、自分の役割を自分で作り出す。準備が100%整っていたら創造性は必要でなくなり、ボランティアの意欲も薄れていただろう。
(p.240)

世界を変える手助けをするために自分の人生を少し変えてみようと思っているなら、僕の心からのアドバイスをひとつ―考えることに時間をかけすぎず、飛び込んでみること。
(p.246)

最大のリスクは、たくさんの人が、あなたを説得して夢をあきらめさせようとすることだ。世の中には、うまくいかない理由をあげることが大好きな人がいて、「応援しているよ」と励ましてくれる人が少なすぎる。一人で考える時間が長いほど、否定的な力に引き寄せられて取り込まれやすくなる。
(p.246)

NPO界のマイクロソフト」を目指すRoom to Readは、慈善活動の新しいビジネスモデルとしても注目されている。主な方針は
1. 活動の成果や出費の内訳を詳細な数字で報告する
2. 人件費などの運営コストを抑え、実際の活動に最大限の投資をする
3. 地域社会も資金や労働力を提供し、住民が主役となってプロジェクトを定着させる
4. 地元の優秀なスタッフを集め、地元の文化に合わせたプロジェクトを育てる
(p.282: 訳者あとがき より)