人間にとって科学とはなにか/湯川秀樹, 梅棹忠夫 (1967)

人間にとって科学とはなにか (中公新書 132)

人間にとって科学とはなにか (中公新書 132)

情報というものの持っている性質はいくつかあると思うのですが、一つ大事なことは、ジェネレーティブgenerativeだということです。生み出す力です。なにか「型」のようなものがあって、そこにものを詰め込んだら、同じものがいくつも出てくる。そういう、ジェネレーティブな性質を持っている。
(p.30)

科学というものは、いろいろな人間のいろいろな体系の中に、強引に新しい情報を組み込ませるためにできた、かなりうまいシステムだ。科学は、一定のトレーニングを経さえすれば、だれにでもかなり大量の情報を組み込ませることが出来るシステムである。
(p.48)

科学というものは一般に理性的な営みと考えられているけれども、そうではなくて、科学をつき進めてゆく力には、むしろ一種の衝動 -- 知的衝動というようなものだと思うんです。
(p.101)

老子荘子は、これは非常に強力な科学否定論です。二十世紀の今日になって、その強力さがむしろはっきりしてきた。
(p.122)