オバマのアメリカ―大統領選挙と超大国のゆくえ

オバマのアメリカ―大統領選挙と超大国のゆくえ (幻冬舎新書)

オバマのアメリカ―大統領選挙と超大国のゆくえ (幻冬舎新書)

アメリカの二大政党である、共和党民主党の支持層は、これまで変遷を繰り返してきた。フランクリン・D・ローズヴェルト大統領のニューディール政策の時代、具体的には1932年の選挙前後から、「ニューディール連合」という、都市労働者、カトリック系、南部白人、黒人、ユダヤ系などによる支持団体の「連合」が民主党を支えてきた。しかし、1960年代半ばになると、この「連合」が崩壊する。公民権運動、ヴェトナム反戦運動を経て、黒人、女性などのマイノリティ集団が民主党で勢力を拡大した。一方、かつて民主党にいた南部の白人層、福音派キリスト教信者などが共和党にどっと流れ、共和党は保守色を強めた。
(p.20)

  • このへんわかりやすくまとめれへんかなー

オバマは旧来の人種のカテゴリーにあてはまらない、これまでのアメリカの大統領像にもあてはまらない、まったく新しいリーダー像を体現することで、「統合」を呼びかける理念の政治をアメリカにもたらした。
(p.23)

  • 「統合」の象徴としての国家トップ。

これからのアメリカは、オバマエドワーズら2008年の大統領選候補者が一里塚を築いたように、「ピアツーピア」の利用が間違いなく主流になるだろう。オバマ陣営は2008年で、iPhone向けのアプリケーション「Obama '08」を提供したが、電話連絡の結果を管理する「Call Friends」やローカルの事務所と連絡できる「Get Involved」など、草の根つまりグラスルーツ機能がその目玉だった。
(p.85)

  • P2Pか。iPhoneアプリとは興味深い。iPhoneは永続的に人気を集め続けるのか、疑問を持っている。

大きな州だけをピンポイントで狙った伝統的な「激戦州」対策方式は、私たちの小さな州はどうでもいいのか、というしらけ意識を生ませるリスクが常にある。オバマの方針は「アイオワは大事。そして全米のどの小さな州もアイオワだ」というものであり、小さな州をこつこつと集めた。この方針が、「個別のアメリカ」を重視してくれるという意識を広がらせた。「過半数だけ取れば勝てる」「人口の多い激戦州以外は切り捨て」といった、これまでの功利的な選挙常識を覆す意識改革だった。これはオバマ陣営やマケイン陣営のネット献金の集まり方とも共通するものだった。
(p.143)

  • 時代自体が"小さくたくさん"に向かっている気がする。軍事、研究、ネット、社会。

アメリカにおけるオバマ分析を総合すると、オバマの「強み・追い風」は「変革への期待とフレッシュさ(政治的しがらみの弱さ)」「グラスルーツの若年層支持」「黒人であること」「4党内リベラル派の堅固な支持」「好意的なメディア報道」だった。一方、「弱点・マイナス環境」として指摘されていたのは、「経験不足(外交・安全保障)」「黒人であること」「討論の弱さ」「政策の中庸さ」に収斂された。
(p.146)

  • 黒人は両方なんやな。社会情勢を見方につけた(時流に乗っていた)のも大きい気がする

周知のように、アメリカに浪人制度はなく、とりあえず現役で入れる大学に入る。入学した大学が一生を決めるわけではないシステムが担保されているからだ。「トランスファー」である。二年だけ勉強して、より上位の大学に移る。日本で言う大学内の転部や他大からの編入に近いが、日本ではこれが一部の大学で、しかもごく少数しか実施されていないのに対し、アメリカではトランスファーはきわめて日常的な制度だ。
(p.161)

  • ええな。絶対浪人とかするよりどっか大学で過ごした方がええ経験できるやろしな。
    • 新卒至上主義や処女信仰と併せて、"まっさら"を好む日本の傾向?

キング牧師は夢を見た。しかし私たちは夢を見ているだけでいいはずがない。投票により夢を現実にできる」。「女性」より「黒人」というアイデンティティを選んだのか。ウィンフリーの選択はそうではなかった。アメリカを席巻してきた「アイデンティティの政治」を乗り越える、脱「カテゴリーの政治」模索への呼びかけを意味していた。
(p.221)

まだ若いのだから、議会でじっくり経験を積めばいくらでもチャンスはあるという声もあった。しかし、ワシントンでの利権にまみれていないフレッシュさが武器である以上、だらだらと議会経験を蓄積することは、オバマの根本的な魅力を削ぐことになる。このことがオバマ自身も周囲もよくわかっていたからこそ、2008年に賭けたのだ。
(p.224)

  • 47歳を若いという感覚が、ちょっとしっくりこない。相対的には若いのだろうし、見た目も若々しいけども。